松本市の学校給食「巨峰ゼリー」にカビか|市の発表と異物発見時の対応

学校給食で出された食品に異常が見つかると、「子どもは食べていないか」「体調への影響はないか」と心配になります。
2026年9月4日、長野県松本市の学校給食で、巨峰ゼリーにカビのような異物が確認されました。市が9月11日に公表した情報では、症状の申し出はありますが、ゼリーとの因果関係は確認できていません。松本市の公表資料
こうした場面で給食現場に求められるのは、原因の確定を待たず、提供を止めて関係者へつなぐことです。
私は給食営業として、社員食堂や介護施設の厨房委託に携わり、異物混入や食中毒への対応も経験してきました。
この記事では、市の発表内容を整理したうえで、外部から納品される食品の異常にどう備えるかを考えます。
この記事で分かること
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松本市が公表した発生状況と健康状況
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給食で異常食品を発見した際の初動
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完成品の受け入れで確認したい管理体制
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給食営業と施設担当者が共有すべき情報
目次
- 松本市の学校給食「巨峰ゼリー」にカビか|市の発表と異物発見時の対応
松本市の巨峰ゼリーで何が起きた?
納品総数2,333個と、異常が確認された6個は別
松本市によると、9月4日の給食時間に、清水小学校で未開封の巨峰ゼリー6個からカビのような異物が見つかりました。
異常が確認された6個は食べられていません。 同校では直ちに喫食を中止しましたが、外見上異常のないゼリーを、すでに食べた児童もいました。
同じ製品は、清水・源池・本郷・田川・開智・岡田の6小学校へ計2,333個納品されています。この数字は納品総数であり、異常品の数や喫食人数ではありません。松本市の公表資料
健康状況と原因について分かっていること
市は9月7日から9日に、下痢や嘔吐の症状があったとの申し出を受けています。
申し出時には症状が治まっており、受診した児童はいなかったとしています。ただし、食品との因果関係は未確認です。
市は保健所などと情報を共有し、製造工程や原因、同一ロットの出荷状況を確認しています。また、今後使用予定だった同じ製造業者の製品も、念のため使用を見合わせています。松本市の公表資料
現時点で「カビによる食中毒が発生した」とは断定できません。
一方、原因が分からないことを、そのまま安全の根拠にすることもできません。原因調査と、食べる人を守る対応は並行して進める必要があります。
異常食品を発見したときの初動
以下は、公的資料を踏まえた一般的な対応の整理です。実際には、自治体や施設のマニュアル、保健所などの指示に沿って対応します。
1.対象食品の提供・喫食を止める
カビのような付着物、異臭、液漏れ、包装の破損などに気付いたら、まず対象食品の提供を止め、責任者へ報告します。
すでに配っている場合は、配膳担当者だけでなく、食べている人にも中止を伝える必要があります。
東京都も、異常を感じた食品は食べずに保管し、販売店や製造元へ問い合わせるよう案内しています。東京都「食品安全FAQ」
ここで避けたいのは、発見した担当者だけで「この1個を取り除けばよい」と判断することです。
対象商品を一時的に確保し、同じ食品への広がりを確認します。ほかの献立まで止める必要があるかは、異常の種類や混入範囲を踏まえ、責任者が関係部署と判断します。
文部科学省の資料でも、危険な異物が見つかった場合の報告と給食停止の判断、組織的な対応が示されています。文部科学省「学校給食におけるリスクマネジメント」
2.異常品を捨てず、発見時の状態を残す
異常品は、原因調査のための重要な手がかりです。
食品だけでなく、容器や包装、表示も残します。未開封なら、確認のためにむやみに開けないようにします。
いわき市も、異常部分だけを取り出さず、食品全体と容器・包装を残すよう案内しています。開封前に異常を見つけた場合は、そのまま開封しないことが示されています。いわき市「食品の異常に関する保健所への届出について」
現場では、次の情報をまとめておくと確認が進めやすくなります。
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発見した日時・場所・担当者
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開封前か、開封後か
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異常部分と商品全体の写真
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商品名、賞味期限、ロット表示
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納品日時と納品伝票
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納品後の保管場所・温度の記録
誤って再提供されないよう、保管品には「使用禁止」と表示します。食品を変質させない保管方法は、保健所などへ速やかに確認しましょう。
3.同じ商品の在庫と納品先を確認する
ロットとは、一定の製造期間・工程で作られた製品のまとまりです。
同じ商品名でもロットが異なる場合があります。そのため、商品名だけでなく、包装や外箱の表示を確認します。
文部科学省の学校給食衛生管理基準では、検収時にロット番号などの情報を点検・記録することが示されています。文部科学省「学校給食衛生管理基準」
給食会社や仕入先には、次の点を確認します。
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同じロットが、ほかの施設にも届いているか
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未提供の在庫がどこにあるか
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別の納品先でも異常の連絡がないか
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対象範囲の確認と連絡を誰が担当するか
ロットの特定に時間がかかる場合でも、第一報を遅らせないことが大切です。
分かっている商品情報と異常の内容を先に伝え、追加情報を追って共有します。
4.食べた人の健康状況を確認する
すでに提供済みなら、喫食の有無や時間、体調の変化を確認します。
学校では養護教諭や学校医、介護施設では看護職など、健康管理を担当する人につなぎます。
体調不良がある場合は医療機関への受診につなげ、食事が原因と疑われる場合は保健所へ相談します。東京都島しょ保健所「食品に関する相談について」
複数人から申し出が出るまで、報告を待つ必要はありません。
厚生労働省の通知でも、健康被害につながるおそれを否定できない苦情を受けた場合、保健所などへ速やかに報告するよう示されています。厚生労働省「食品への異物の混入防止について」
確認するときは、「ゼリーが原因ですね」と誘導せず、本人や保護者の申し出をそのまま記録します。
5.連絡した相手と、実際の対応を確認する
連絡先は、現場責任者、学校・施設担当者、給食会社本部、仕入先などです。学校では、教育委員会や給食センターとの連絡も必要になります。
ただし、一斉メールを送っただけでは、提供が止まったか分かりません。
緊急時には、相手が連絡を受け取ったか、対象品を確保したかまで確認します。
複数施設へ配送する食品については、平時から「誰が全体の対応状況を取りまとめるか」を決めておきたいところです。
完成品の受け入れで見直したいこと
納品時の検収を、数量確認だけにしない
検収とは、届いた食品が発注内容に合い、受け入れられる状態かを確認する作業です。
学校給食衛生管理基準では、数量や期限だけでなく、包装状態、異物・異臭、品温などの点検と記録が求められています。学校へ直接納入される食品も、共同調理場と学校で適切に分担して検収することが示されています。文部科学省「学校給食衛生管理基準」
完成品を受け取るときも、次の点を確認しましょう。
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包装や容器に破損・膨張・液漏れがないか
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指定された温度で運ばれているか
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期限とロット表示を確認できるか
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納品後、適切な場所へ速やかに保管できるか
包装越しに見える部分は確認できますが、未開封のまま中身をすべて調べられるわけではありません。
そのため、納品時だけでなく、配膳や開封時に異常を見つけた人が報告できる体制も必要です。
「製造」と「受け入れ」の両方を確認する
外部で作られた食品に異常があった場合、製造工程だけで原因を決め付けることはできません。
製造・包装・輸送・納品後の保管について、記録をつなげて確認する必要があります。
これは、学校給食のデザートに限った話ではありません。社員食堂で使う調理済み食品や、介護施設で受け入れる完調品でも、同じ視点が必要です。
外部製造品を活用する際は、仕入価格や作業量に加え、異常時の連絡窓口と調査への協力体制も確認しておきましょう。
完調品を利用する運営方法については、高齢者施設の給食は「直営+完調品」が増える?でも解説しています。
代替品を出すときも確認を省かない
対象食品を止めた後は、代替品の手配や献立変更が必要になる場合があります。
ただし、「すぐ届くから」という理由だけで代替品を選ぶのは避けたいところです。
学校では食物アレルギー情報、介護施設では食形態など、元の献立と同じ条件で提供できるかを確認します。数量や納品時間だけでなく、対象者に合う食品かの確認が必要です。
学校給食のアレルギー対応は、各学校設置者の方針や対応マニュアルに沿って進めます。文部科学省「学校給食における食物アレルギー対応について」
緊急時の手配を誰が行い、誰が提供を承認するかも、事前に決めておきましょう。
給食営業が施設への説明で気を付けること
原因の推測を、確認済みの情報に混ぜない
私は社員食堂や介護施設の厨房委託に関わる立場として、事故時には説明の内容をそろえる必要があると考えています。
現場、営業、本部が違う説明をすると、施設側はどの情報を基準に動けばよいか分からなくなります。
第一報では、次の内容を整理します。
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いつ、どの食品で、何が見つかったか
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提供をどこまで止めたか
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喫食や体調不良について何が分かっているか
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現物と在庫をどう確保しているか
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誰が何を調査しているか
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次の報告をいつ行うか
原因が分からない段階では、「製造時の問題だと思います」などの推測を説明に加えないことです。
同時に、「調査中です」の一言だけで終わらせず、実施済みの対応と次の確認事項を伝えます。
責任の結論を待たず、役割を決めて動く
原因や費用負担の整理には、調査や契約内容の確認が必要になることがあります。
それでも、利用者の健康確認や在庫の確保は待てません。
給食会社と施設の間では、調査窓口、利用者への説明、代替食の調整などを分担します。営業がすべてを抱え込まず、衛生管理担当者や施設責任者と進めることが必要です。
委託先と施設側の役割分担は、委託給食とは?直営給食との違い・メリット・費用を現役営業が解説でも整理しています。
なお、異常食品の提供を自主的に止めることと、行政による営業停止処分は別です。食中毒発生後の対応については、給食会社で食中毒が発生して営業停止になるとどうなる?をご覧ください。
まとめ|完成品も、異常時に止められる体制が必要
今回の事例を受けて給食現場が確認したいのは、外部から届く食品に異常があった際の動き方です。
提供停止、現物の保管、納品先の確認、健康状況の把握を、関係者で分担して進める必要があります。
まずは、自分の職場で次の3点を確認してみてください。
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異常を見つけた人が、すぐ報告できる相手は誰か
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対象食品の在庫と納品先を、どの記録から追えるか
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責任者が不在でも、提供を止めて連絡できるか
マニュアルが置いてあるだけでは、緊急時に使えるとは限りません。
「給食時間に、未開封の商品から異常が見つかったら」と場面を決め、連絡の順番を確認しておくことが、具体的な備えになります。
よくある質問
賞味期限内なら、異常があっても食べられますか?
期限内であっても、異物や異臭などがあれば食べずに確認します。東京都多摩小平保健所も、期限内の食品に異常がある場合は、包装などとともに保管し、販売店や製造者へ問い合わせるよう案内しています。東京都多摩小平保健所
ロット番号が見つからないときはどうしますか?
商品名、期限表示、製造者、納品日、納品伝票などをそろえ、仕入先へ確認します。外箱に情報が残っている場合もあります。番号が分からないことを理由に、異常の報告を遅らせないようにしましょう。
異常品をメーカーへ渡す前に、何を残すべきですか?
商品全体と異常部分、表示の写真に加え、発見状況を記録します。引き渡す相手、日時、数量も控えましょう。保健所が調査に関わる場合は、現物の提出先や取り扱いを先に相談します。
保護者が子どもの体調の変化に気付いたら、どうすればよいですか?
学校へ連絡し、食べたもの、症状が始まった時刻、症状の内容を伝えてください。体調不良がある場合は、医療機関へ相談・受診します。食品が原因かどうかは、自己判断で決めず、調査と診察につなげましょう。東京都「食品安全FAQ」
※本記事は、2026年9月12日に確認した公開情報をもとに作成しています。事案の説明は松本市の9月11日発表を中心とし、一般的な対応の解説とは区別しています。





